天神山城
別  名 白鳥城・根古屋城
所 在 地 埼玉県秩父郡長瀞町岩田
築城年代 天文元年(1532)
築 城 者 藤田重利
区  分 山城(標高226m:比高100m)
遺  構 郭・土塁・堀切・竪堀・石積み
史跡指定 埼玉県選定重要遺跡
現  状 山林

訪問適期 10 11 12
                       
 
秩父鉄道「野上」下車 登山口へ徒歩20分
登山口から山頂まで徒歩20分
駐車場:なし トイレ:なし
天神山城は戦国時代に藤田氏によって築かれた山城です。
花園城や千馬山城などの秩父路の名城を多く手掛けた一族でもあります。
後北条氏が北関東へ進出すると藤田氏はその家臣となりました。
北条氏が鉢形城を拠点とすると天神山城はその支城となり、
天正18年(1590)に前田・上杉の軍勢に攻め落とされたそうです。
 
天神山城は昭和40年代に観光地として開発され、
近世風の櫓や駐車場が整備されたため貴重な遺構が失われました。
中世城郭に不釣り合いな天守、それも有料とあっては
当然の帰結として客足は遠のき、今では廃墟となっています。
それでも石積みや出郭の横堀など見所は豊富な山城なのです。
 
では、天神山城へ登ってみましょう!
 
大手桜 白鳥神社 主郭北側の腰郭
野上駅から城山へ向かうと大手桜の案内板があります。本来の大手道は私有地のため登れません。
ぐるっと迂回して白鳥神社へ向かいます。神社の裏側から登山道が続いています。
つづら折れの山道を登ると腰郭へと着きます。ここからは道らしい道がないので直登します。
 
主郭 主郭跡の模擬櫓 眺望
主郭跡です。近世風の模擬櫓があります。内部は朽ちてきているため危険です。
主郭からの眺望ですが少し樹木が邪魔ですね。
 
竪堀 堀切 石積み
西側斜面には腰郭や竪堀があります、
主郭と二の郭の間の堀切はなかなか見事です。上に架かる橋は観光客用の架橋です。
腰郭には石積みが施されています。かなり崩落していますが山城で石積みに出会うと嬉しいものです。
 
二の郭跡の石積み
二の郭跡の壁面に施された石積みです。ここもかなり崩落が進んでいます。
この先も樹木の成長によりさらに崩落が進んでゆくことでしょう。
 
二の郭 二の郭 腰郭
二の郭跡は天神山城でも最も広い郭です。しかしながら真冬でも背の高い草が生え放題です。
真ん中の写真は左の写真よりも4年程前に訪れた時のものです。
時期的には同じ真冬なのですが、手入れがされないとこうなってしまうんですねぇ。
 
土塁 堀切 石積み
二の郭から三の郭にかけては観光開発時に著しく破壊されています。
堀切は埋められていますが、その痕跡はたどることができます。石積みも一部残っていました。
 
腰郭 出郭の横堀 出郭の土塁
三の郭の南側の腰郭です。横堀なのかもしれません。
出郭は二の郭から下りられますが、急斜面のためロープを持参する必要があります。
尾根上の遺構とは異質なものを感じます。こちらは後北条氏によって増築されたものかもしれません。
 
天神山城へは秩父鉄道の野上駅から歩いて20分程度です。
登りもそれほどきつくなく、比高差も少ないので楽に登れます。
観光地化するために貴重な遺構がかなり破壊されているのが残念ですが、残った遺構で十分に満足できます。
一応は私有地となっているので地主さんに会われた場合は挨拶はしたいものであります。
歴史も割合はっきりしていて遺構も良く残っているので、できれば公有地化してほしいですね。
 
周辺情報
天神山城周辺にはお店はありません。人家すらまばらであります。
野上駅周辺もあまり飲食店などは見かけなかった記憶があるので、食べ物の現地調達は難しいです。
近くには長瀞があるので宿泊施設はいくつかあるようです。
荒川の川下りや休日に運行する秩父鉄道のSLなど城廻り以外の楽しみも充実しています。